切っ掛けは行きつけのお店での他愛ない談笑でした。
その方が見てきたのは、木彫展。生き物たちの生きた姿を写し取った数々の作品の中で、「ライカ犬もあったよ」と。
―――ライカ犬。一説にはクドリャフカとも言われたりしますが、その指す個体はほぼあの一頭で間違いないでしょう。
当時のソ連の宇宙開発、アメリカとの宇宙開発競争の初期においてスプートニク2号によって打ち上げられ、史上初の周回軌道を回った生物となった犬ですね。ただし、元より地上に還る方法はなく、片道切符だったわけですが……。
知識としては知っていましたし、個人的にこのライカ犬のエピソードには惹かれるものがあったため、この「ライカ犬もあった」という一言で展示会に行くことを決意したのでした。





元にした写真の時点でもそうだったのか、哀愁を誘う姿に感じられます。当時接していた人の気持ちがある程度伝わっていたのか、あるいはそのエピソードを知っているから鑑賞する人がそう感じ取っているのか。
いずれにしても、見た価値はありました。このライカ犬以外も多くの生き物たちの作品があり、どれも配置や展示の環境も含めて凝った空間になっており、どの作品も見ごたえのあるものでした。





どの作品も、実際に生きているかのような視線を感じるものばかりでした。木彫の他にもスケッチなども展示されていました。