年末に博麗神社の話題(拝殿・本殿・本堂(!)と呼称がバラバラ)がTLで散見されたのを契機に、「そういえば博麗神社の間取りってどうなっていたっけ?」と思い立ったので考えてみることにしました。
また、ちょうど『東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.』 3巻が発売され、シリーズが一区切り付いたので、ちょうど良いタイミングなのではないか、とも思ったためです。
博麗神社の間取りについては、実は学生の時に一度三月精準拠で考えたことがあったのですが、そのときのものにはいくつか問題がありました。
- 手書きで雑・汚かった
- 典拠をメモしていなかったため、何故その間取りだと思ったのかを説明できなかった
そこで、今回改めてもう一度取り上げてみることにしました。
1. 前提
以下長文になるので、少しでも短くするために文体を断定形とする。
- 今回も『東方三月精』の単行本を典拠としており、基本的には他の媒体との整合性については触れていない
- 神社の向きについて例外あり
- 『東方三月精』は主に以下の3シリーズを対象としている
- 東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity
- 東方三月精 ~ Oriental Sacred Place
- 東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.
2. 間取りの考察
今回作成した神社の間取り図は以下。
この間取りを構成するに当たっての典拠・詳細を以下2.1.以降、順に記す。
なお、図の作成にはdraw.ioを用い、いくつかの構成図を以下のGithubリポジトリにpushした。
2.1. 全体
最初に神社の立地条件についておさらいする。この点については早速三月精以外ではあるが、
そうそう、霊夢は鳥居の向きを東じゃなくて 南向きにすれば、もっと幸運が訪れるわー。 『東方花映塚 ~ Phantasmagoria of Flower View.』 マッチモード: 因幡てゐ vs 博麗霊夢 因幡てゐ勝利セリフ
というてゐのセリフや、
神社からみると お彼岸の日には 鳥居から日が昇り 『東方三月精 ~ Eastern and Little Nature Deity』 p.53 霊夢のセリフ
という霊夢のセリフから、博麗神社は東向きに建っていると考えられる。
また、幻想郷内での位置については
幻想郷の東の端に存在する唯一の神社 『東方求聞史紀 ~ Perfect Memento in Strict Sense.』 p.137 博麗神社の項
という記述から幻想郷の東端と考えられる。
さて、ここまでを踏まえた上で今回の本題である神社の間取りについて見てみることにする。
以降博麗神社の各部について述べる際、上述より博麗神社が東向きで建っているとして、方角で示す(例: 神社北西部分に玄関)ものとする。
なお、全体の外観や間取りについては
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity』1巻
- p.32: 霊夢・魔理沙・妖夢が縁側で会話しているシーン(神社外観、南西(向かって左後ろ)からやや仰瞰気味な横方向からの描写)
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity』3巻
- p.111: 霊夢と魔理沙が神社の森について話しているシーン(神社外観、北東(向かって右前)からの俯瞰図)
上述の2つが大きなヒントとなった。この2つの描写より、以下のように推測される。
- 居間:
- 神社南西側を大きく占めており、南側・西側2つの縁側に接している
- 居間と2つの縁側は障子で隔たれている
- 西側に円形の窓あり。また、そのほぼ正面に戸袋がある
- 居間内北東部分にタンスあり
- 居間南東部分に空間あり(「2.2. 居間」の描写から床の間と考えられる)
- 土間:
- 南西側に突き出し窓が存在し、そこから煙が上がっている(他の描写と併せると、土間の竈の位置)
- 北西部分北向きに引き戸あり(「2.3. 土間」で触れるが、玄関と推測)
- その他:
- 土間については後述するが、土間が北西部、居間が南西部に位置している
- 南側の縁側の中央辺りに扉(外側に取っ手)あり
- 戸袋の描写から、土間の壁と西側の縁側のフチが同じラインであることが分かる(つまり、居間の壁は縁側の分内側に引っ込んでいる)
2.2. 居間
霊夢が普段いる部屋。お茶を飲んだり、くつろいだり、食事をしたり。布団を敷いて寝るのもここの模様。
- 『東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.』1巻
- p.121~123: 霊夢がクラウンピースが焚いている火の熱で暖を取ってくつろぐシーン
- p.126: 魔理沙が消火したシーン
- p.148: 霊夢が彼岸から戻ってきたシーン
- 『東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.』3巻
- p.88-89: ヘカーティアが訪問したシーン
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』1巻
- p.21: 三妖精が神棚を探しに忍び込んでいるシーン
上述の3つを主な典拠として居間の間取りを構成した。
- 広さ:
- 畳の縁の描写から8畳間と推測
- 上述以外では『東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.』2巻 p.118 (灼熱炎祭り当日の朝霊夢が寝ている)や『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』3巻 p.17 (京丸牡丹について霊夢・魔理沙が食事をしながら話す)など何度か描写されているが、吹き出し等で隠れていてよく分からなかったり、畳の縁のラインが怪しい部分も見受けられたが、今回は8畳と想定
- 畳の縁の描写から8畳間と推測
- ちゃぶ台:
- 描写によって居間の中央部だったり西部に寄っていたりするが大きめのちゃぶ台が存在している。お茶を飲んだり、魔理沙と共に食事をしたり、生活の中心になっている
- 居間は寝室も兼ねているので夜間は布団を敷くためにどかしていると思われる
- ここからは完全に憶測だが、居間の中でちゃぶ台を立てかけるとしたら南西部南面の壁か、土間との間の板戸くらいしかなさそう……(円窓のある壁は台があり、襖は布団を出し入れするのでそこに立てかけると邪魔だろう。床の間は南側がすぐ障子に面しているので柱を上手く使って立てかけるのは事故がありそう……と消去法で残るのがこの2つ)
- 居間は寝室も兼ねているので夜間は布団を敷くためにどかしていると思われる
- 描写によって居間の中央部だったり西部に寄っていたりするが大きめのちゃぶ台が存在している。お茶を飲んだり、魔理沙と共に食事をしたり、生活の中心になっている
- 障子:
- 南と西の2方向が障子越しに縁側と接続している。障子の枚数は定かではないが、3枚または4枚と思われる
- 居間の北西部は円窓があるため壁がある。また、『東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.』1巻 p.122~123 から南西部にも壁が半間分あると考えられる
- 全体を8畳間とし、北西部の西面と南西部の南面にそれぞれ半間の壁があると仮定すると西・南の両方とも障子は3枚と推測した
- 居間の北西部は円窓があるため壁がある。また、『東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.』1巻 p.122~123 から南西部にも壁が半間分あると考えられる
- 南と西の2方向が障子越しに縁側と接続している。障子の枚数は定かではないが、3枚または4枚と思われる
- 円窓:
- 『東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.』1巻 p.126 から、居間の外から円窓の木組みを見たものを間取り図の左下に図示した
- 押し入れと床の間:
- 『東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.』1巻 p.126 や 同 p.148 から、押し入れ・床の間はそれぞれ1間分ある
- なお、床の間には掛け軸と花瓶が飾ってあった模様
- 居間は寝室も兼ねていると考えられるので、押し入れにはおそらく布団が入っているのだろう
- 『東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.』1巻 p.126 や 同 p.148 から、押し入れ・床の間はそれぞれ1間分ある
- 神棚:
- フラクタル神社な神棚。 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』1巻 p.20 や 『東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.』1巻 p.148 より、押し入れの上、床の間の隣にあることが分かる。したがって、居間の東側ほぼ真ん中に位置すると考えられる。
- ちなみに 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』3巻 p.81 のサニーが鼠に驚いているコマから、押し入れの上の壁、場合によっては天袋が位置する部分の壁に取り付けられている。したがって、押し入れと神棚はぶつからない
- タンス:
- 『東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.』2巻 p.38 や 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』2巻 p.58 にタンスの存在が確認できる。後者より、タンスは土間側向かって右側に位置している。冒頭の神社の全体像より土間は居間の北側に位置しているため、タンスは居間の北東部だと推測される
- 花瓶を置いた台:
- ちょっとしたサイドテーブル的なものであろうか。花瓶を置いた台が居間に存在している。場所はタンスの項でも言及した 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』2巻 p.58 から考えると、居間の北西部分、円窓のある場所だと考えられる
- 布団:
- 普段は押し入れに収納されていると思われる。霊夢が布団で寝ている描写は以下の2つ。
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』2巻 p.124 (雀酒を飲んだ三妖精が早朝から境内で踊っている音で目を覚ますシーン)
- 『東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.』2巻 p.118 (灼熱炎祭り当日の朝、炎の暑さで目覚めるシーン)
- 霊夢が寝ている場所に関するヒントは以下の3つ
- 前者では向かって右奥にタンスが見え、さらに襖らしき戸が霊夢左手に見える(畳縁との境がやや怪しい気がするが)
- 後者では逆アングルで左奥に何らかの台の脚が見え、さらに霊夢右手側にも戸が見える
- どちらも霊夢の頭の方に板戸らしき戸が見える
- 家具や戸の配置から、霊夢が寝ている場所は居間であり、しかも北枕で寝ていると考えられる(生死の境界を意識したものか?)
- 普段は押し入れに収納されていると思われる。霊夢が布団で寝ている描写は以下の2つ。
2.3. 土間
霊夢がタラの芽の天ぷらを揚げたり、チルノと三妖精が鯉を盗もうとしたりした場所。
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 1巻
- p.102-103: 霊夢がタラの芽の天ぷらを揚げるシーン
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 2巻
- p.98~102: チルノと三妖精が鯉を盗もうとするシーン
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』1巻
- p.18-19: 三妖精が神棚を探しに忍び込んでいるシーン
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』3巻
- p.81: サニーミルクが御神体を探すシーン
上述の4つを主な典拠として居間の間取りを構成。
- 玄関:
- 上述の霊夢が天ぷらを揚げるシーンで、竈に向かっている霊夢の右から魔理沙が入ってきた。「2.1. 全体」で触れたが、 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity』3巻 p.111 では玄関と思しき引き戸が神社の北西部北面に確認できることや、 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity』1巻 p.32 で煙の出ている突き出し窓が西側に確認できるため、位置関係から玄関は北向きであろう
- 傘立て:
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』1巻 p.18 で三妖精が玄関に入る際に傘立てが右手(北西端部分)に見える
- 竈:
- 同シーンで、竈は2つあり、台部分はレンガ製と思われる
- また、南側の竈にはガラス戸のようなものが見える。これはオーブンなのか、それとも竈の空気口なのかは不明
- 突き出し窓(竈・西):
- 同シーンで、竈の正面に木製の突き出し窓があることが分かる。これは上述の通り煙が出ていた窓と推測される
- 突き出し窓(北):
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』1巻 p.18 、傘立てと同じシーンで向かって左手(北東方向)に突き出し窓が確認できる
- 『東方萃夢想 ~ Immaterial and Missing Power.』や『東方緋想天 ~ Scarlet Weather Rhapsody.』等の博麗神社ステージで描かれている突き出し窓(背景向かって右手の斜めに開いている板)がこれと思われる
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』1巻 p.18 、傘立てと同じシーンで向かって左手(北東方向)に突き出し窓が確認できる
- 流し・手押しポンプ:
- 流しは周りがタイル製で、内部はタイルの目が見えないのでステンレス等の別の素材と思われる
- 向かって右側(北側)に手押しポンプが確認できる
- 調味料棚:
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 1巻 p.102 と 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 2巻 p.98 の2つから、流しの上に調味料等が納められた棚があることが確認できる。棚は内部に突き出しているため、流しの上にややかかる形で存在しているものと思われる
- 流しの真上に調味料って、湿気は大丈夫なのだろうか……
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 1巻 p.102 と 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 2巻 p.98 の2つから、流しの上に調味料等が納められた棚があることが確認できる。棚は内部に突き出しているため、流しの上にややかかる形で存在しているものと思われる
- 作業台:
- 竈と流しの間にタイル貼りのスペースが広めに取られており、天ぷらなどのお皿を並べているのが確認できる。一時的な作業スペースであろう
- まな板は流しの方に掛けたりするかもしれないので、この作業台をまな板で素材を切るときにも使用するかは不明
- 竈と流しの間にタイル貼りのスペースが広めに取られており、天ぷらなどのお皿を並べているのが確認できる。一時的な作業スペースであろう
- 式台:
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 2巻 p.98 と 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』1巻 p.18-19 から、L字形に式台があることが確認できる。場所は南側と東側。
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』1巻 p.18 の描写から、式台前の沓脱石は南側の方が長いと想定した
- 板戸(南・東):
- 上述の描写から、板戸が南側と東側、各式台の先の2箇所に窺える
- 「2.5. 空間の接続」で言及するが、南側は居間に通じる板戸
- 式台の端は板戸の枠と同じラインで切れる
- 東側の板戸については一度も開いたことがなく、その先のスペースがどうなっているのか不明
- 今回は甕等の物置としてのスペースと仮定した
- もしかしたら拝殿に繋がる裏口かもしれない
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 2巻 p.100 より、式台の端は板戸の枠より突き出していると想定(図では戸1枚(半間)分突き出す形とした)
- 今回は甕等の物置としてのスペースと仮定した
- 水甕:
- チルノと三妖精が鯉を盗み出そうとしたことで有名な水甕。鯉を生かすためだけでなく、場合によっては単純な水の備蓄としても利用しているかもしれない
- 鯉のシーンの他、『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』3巻 p.81 でも水甕の数は2つなので、図では2つ記した
- 鯉は東側の方に2匹描かれていたので、図でも同じように記した
- 図では省いたが、 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』3巻 p.81 では水甕の上に大根や柿が干されているのも確認できる
- 備蓄・漬物:
- 土間の北東部。 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 1巻 p.103 では壺が2つ、 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 2巻 p.100 では漬物樽と思しき木製の樽、奥に壺(?)、手前に敷物の上に広げられた大根や白菜が見受けられる。今回の図では後者を採用して大根・白菜・手前の黒い塊(芋類か?)を記した
- 漬物樽に関しては 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』1巻 p.18 でも確認できる
- 土間の北東部。 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 1巻 p.103 では壺が2つ、 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 2巻 p.100 では漬物樽と思しき木製の樽、奥に壺(?)、手前に敷物の上に広げられた大根や白菜が見受けられる。今回の図では後者を採用して大根・白菜・手前の黒い塊(芋類か?)を記した
- 広さ:
- 居間と異なり、土間には明確に広さの基準となるようなものが見当たらないため、正確な広さは不明である
- ただし、今回の図では板戸・式台の位置や各物品の配置から間取りを起こした
2.4. 縁側
霊夢と魔理沙がよくお茶を飲んでいる縁側。魔理沙など来訪者が居間にいる霊夢に声をかけるのも縁側越しであることが多い。
- 縁側(南):
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』1巻 p.8 や 同 p.28 で霊夢・魔理沙がお茶を飲んでいる場所。コマで向かって右側に伸びているのと、左側は90度曲がって奥へ伸びている。この配置で障子が3枚連なり、かつ角が半間分壁がある場所は南側しかないので、二人は南向きでお茶を飲んでいることになる。
- 足元に着目すると、四角い沓脱石があることが分かる
- 「2.1. 全体」でも述べた通り、縁側の南東の端に扉があるのが確認できる。今回の図では納戸のような物置のスペースと仮定した
- 縁側(西):
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』1巻 p.71 で魔理沙がお地蔵様を抱えて声をかけ、続く p.72 でお地蔵様を囲んで霊夢と魔理沙が立ち話をしていたのが西側の縁側になる
- 同 p.72 の描写から、こちらは自然に近い楕円形の沓脱石が置かれていることが分かる
- この場面が西側だと判断したのは以下の理由
- 直前の p.70 で居間で寝転がっていた霊夢が起き上がったとき、奥に襖が描かれていた(襖・押し入れがあるのは居間の東側のみ)
- 続く p.71 で魔理沙が声をかけたとき、霊夢は右側(居間の西側)に振り返り、続くコマで魔理沙は霊夢の右側にいた
- 池:
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』3巻 p.117 で霊夢が三妖精の棲家を探しに神社の裏手へ向かうシーンより、縁側(西)の少し先に池があることが分かる(このシーンでは凍結していたが)
- 直接の描写はないが、 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity』2巻 p.56 で霊夢と魔理沙が光苔について境内で話すシーンにて霊夢の「うちの裏の池に移植すれば光っておもしろそうだったんだけど」、魔理沙の「あそこなら亀の背中にも生えそうだしな」というセリフから博麗神社の裏手に池がある、ということは言及があった
- この亀について「玄爺ではないか」と当時は沸き立ったものだった……
2.5. 空間の接続
ここまでで博麗神社には居間と土間があることが分かった。この居間と土間、そしてその先の縁側がどのように接続しているかを考える。
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 2巻
- p.98~103: チルノと三妖精が鯉を盗もうとするシーン
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 3巻
- p.18-19: 魔理沙が酒虫の酒をつまみ飲みしようとしたのを霊夢が注意するシーン
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』1巻
- p.18~21: 三妖精が神棚を探しに忍び込んでいるシーン
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』2巻
- p.58: ルナチャイルドがお団子をすり替えるシーン
以上4つのシーンから考える。
- 玄関-土間-居間の接続:
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』1巻 p.20 より、三妖精は玄関から土間に入り、土間から居間に上がった。そのため、この順番(玄関→土間→居間)という形で空間が接続していることが分かる
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 2巻 p.102 より、玄関と居間の板戸はずれずに一直線上に位置していることが分かる。これに従って、図では玄関の戸2枚(1間分)と居間-土間間の板戸(こちらも2枚、1間分)を揃えて示した
- 土間-居間-縁側(南)の接続:
- 玄関を入って向かって右側(西向き)に竈や流しがあることが分かっている
- ここで、 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 3巻 p.18 で居間にいる魔理沙を注意する際、『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』2巻 p.58 で団子の様子を確認する際に、霊夢は竈で調理中の状態から左向きに振り返っている
- したがって、土間の南側に居間があり、さらにその先に縁側(南)と、一続きになっていることが分かる
- 夏場は玄関・居間-土間の板戸・南側の障子を開けることで南北に風が通る構造だと考えられる
以上の描写を以て、博麗神社の居住スペース(土間-居間-縁側)の空間的な接続を構築することができる。これを踏まえた配置が、冒頭で示した間取り図となる。
2.6. 拝殿
最後に、キャラのセリフによって拝殿・本殿・本堂と呼称がバラバラな部分。
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity』3巻 p.111 の俯瞰図から、博麗神社は全体的にほぼ正方形の間取りであることが推測される
- 居間が8畳間とすると幅は2間となるため、拝殿側もほぼ同じ奥行と推測した。その上で、押し入れスペース(半間)を加味すると居間+押し入れで2.5間となるため、拝殿側は2間から半間削った1.5間とした
- 幅は居間+土間の4間とすると、計12畳分のスペースとなる
- 結構広そうに思えるが、普段は陰陽玉や三宝といった霊的・神事に使う物品が納められている倉庫のようなスペースとなっている模様
- 幅は居間+土間の4間とすると、計12畳分のスペースとなる
- 正直描写が少ないのでよく分からない
- 拝殿側の縁側についてはコの字形に取り囲んでいると考えられる
2.7. その他
- 蔵:
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity』3巻 p.56~60 で霊夢が新聞を探しに蔵に向かっているのが確認できる
- 『東方萃夢想 ~ Immaterial and Missing Power.』や『東方緋想天 ~ Scarlet Weather Rhapsody.』、『東方心綺楼 ~ Hopeless Masquerade.』等の博麗神社ステージで神社向かって左奥(南西方向)に描かれている高倉式の建造物がこれか?(三月精では高倉式ではないが……)
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity』3巻 p.56~60 で霊夢が新聞を探しに蔵に向かっているのが確認できる
- 風呂場・厠:
- 三月精中では特に描写が無かったため、今回の間取りでは風呂や厠が存在していない
- そこでこれらの場所が疑問視されるが、候補としては2つ推測される(典拠はないため、あくまで推測の範囲)
- 一つは離れという可能性。神社の建物とは別個に存在している、と考えられるのではないか
- もう一つは、「2.3. 土間」で言及した式台東側の板戸の先の「謎の空間」が風呂・厠ではないか、というもの
- この考えに則るならば、水を扱う設備が土間周辺に固まることになるため、仮に神社建物内にこれらの設備を備えるとするならば理にも適っているように思えるが……
- ただし、衛生面等々から離れの方が良いのでは?厠に至っては水洗式ではない可能性も高い
- この場合、玄関隣よりも位置はずれてしまうが、北側の突き出し窓が風呂または厠の窓ではないか、と考えることもできる
- この考えに則るならば、水を扱う設備が土間周辺に固まることになるため、仮に神社建物内にこれらの設備を備えるとするならば理にも適っているように思えるが……
以上、『東方三月精』の各描写を突き合わせて間取りを構築してみた。
この間取りが、誰かの何かの参考になることを願って結びとしたい。
出典
- 『東方花映塚 ~ Phantasmagoria of Flower View.』 上海アリス幻樂団 2005
- 『東方求聞史紀 ~ Perfect Memento in Strict Sense.』 ZUN著 一迅社出版 2007
- 『東方三月精 ~ Eastern and Little Nature Deity』 松倉 ねむ/漫画 ZUN/原作 2007
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 1巻 比良坂 真琴/漫画 ZUN/原作 2008
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 2巻 比良坂 真琴/漫画 ZUN/原作 2009
- 『東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.』 3巻 比良坂 真琴/漫画 ZUN/原作 2009
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』1巻 比良坂 真琴/漫画 ZUN/原作 2010
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』2巻 比良坂 真琴/漫画 ZUN/原作 2011
- 『東方三月精 ~ Oriental Sacred Place』3巻 比良坂 真琴/漫画 ZUN/原作 2012
- 『東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.』1巻 比良坂 真琴/漫画 ZUN/原作 2018
- 『東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.』2巻 比良坂 真琴/漫画 ZUN/原作 2018
- 『東方三月精 ~ Visionary Fairies in Shrine.』3巻 比良坂 真琴/漫画 ZUN/原作 2019