初版: ’08 8/21
- 紙舞
- 風も無いのに紙が一枚一枚舞う、という現象を司る妖怪らしい。
この妖怪を紹介しているのは『妖怪画談全集 日本篇 上』(藤沢 衛彦)という書である。
ところが、同書で用いられている絵は『稲生物怪録絵巻』という書に描かれたものであるという。この書は、魔物によって備後国三次の藩士である稲生家に起きた一連の怪異を書き留めたもので、紙(ここでは鼻紙)が舞うのはその一連の怪異のうちの一部である。
つまり、”紙舞”という単独の妖怪が存在し、その現象を引き起こしているわけではない(『妖怪事典』(村上 健司著) 他.を参照)。
これより、紙舞という妖怪の存在がかなりあやふやである事が判る。というよりも、存在するかどうかすら怪しいといえるだろう(妖怪が存在する、しないという論は少しおかしな気もしないでもないが)。
話中でも、実際は三月精の力で怪異を起こしていると思われるので、紙舞が実際に登場しているわけではなく、文の話の中に名が出るのみである。
それは、この辺りを加味しているものと思われる。
- 風も無いのに紙が一枚一枚舞う、という現象を司る妖怪らしい。