麻美「ねぇ聞いた?最近構内でパソコンが突然動かなくなるっていう話が多いらしいよ?」
志帆「それ私も聞いた。BIOSも出てこないのにビープ音がしない怪奇現象だって」
美咲「ハードディスクを抜き出して見てみるとデータは無事らしいです。なので最悪の事態は免れているようですが……不思議ですね」
志帆「研究室どころか学科すらバラバラ、メーカーも型式も共通性がないって」
麻美「でも症状は一致してるって」
美咲「偶然、とは思えませんね」
ドロシア「なるほど、ストーンワームの仕業ですか」
麻美「うぎゃっ?!出たこの全ての災いの元凶!」
ドロシア「有益な情報を開示しようと思ったのですが止めますか」
麻美「待って待って待って!」
ドロシア「反応が一々面白いので良しとしておきます」
志帆・美咲((遊ばれてる…))
ドロシア「古くは、かの聖なる書物にあるソロモンの神殿を造りし時代にいた石材を喰らう蟲、近世にはこの国にも写本が持ち込まれたのか、石蟲として記されているようです。ちなみに、白くて小さなワームのような外見で、石の中に住んでいていたようです」
麻美「おおっと」
ドロシア「これはこれは残念。運が悪かったと思って全て諦めて頂きましょう」
志帆「すごく悪い顔になってる……」
美咲「それで、そのストーンワームというのが何故パソコンに?」
ドロシア「簡単なことですよ。CPU……集積回路のことを何と言いますか?」
志帆「あ!『石』ね!」
ドロシア「正解。ストーンワームだけに、フリーソフトか何かにマルウェアとしてくっついてきたのでしょう。それが『石』に巣食って食い潰した、と。」
美咲「では、そのストーンワームの出どころは?」
ドロシア「それはあなた方もご存知でしょう?『虫』といえば……そう、彼の虚ろな殻の樹、黙示録の蟲です」
麻美・志帆・美咲「あいつ(あの方です)か!!」
ドロシア「……まあ、私から言わせて頂ければ人間も紅い石を喰らおうとする欲深い裸蟲。どちらも対して違いは無いと思いますがね」
そんな突然のPC故障に悩まされる怪奇現象を追うある日の昼下がり。