初版: ’08/7/17
永琳の衣装について少々。
永琳の衣服は赤黒(紺)反転という色の対比もさることながら、スカートの裾には八卦、胸部には星座、特に北斗七星などの北の夜空が縫いとめられております。
中国の神様の中で、北斗七星を神格化した存在がいます。それが、北斗真君です。北斗真君は、古代中国の書物、『捜神記』では人の死を司り、対となる南斗真君は生を司ると述べられているようです。
生と死。蓬莱の薬は不老不死の薬であり、永夜抄の重要なキーワードであり、そしてかかるテーマはまさに生と死。また、同書では碁を打つ北斗と南斗(なんしゅ)に酒肴を献じて延命した男の話が記されています。
これに関連し、北斗七星に祈祷し延命を願う法も存在しますし、北斗七星と生死は切っても切り離せない関係にあるように思われます。
…ここで気になったのは、永琳のスペルカードの蘇活「生命遊戯 -ライフゲーム-」です。
スペルカード中、永琳が放つ使い魔は自機の前後を往復し、規則正しく並んだ無数の弾を配置し、自機の動きを拘束します。これは、後述のライフゲームを模したものと考えられるでしょう。
そのライフゲームとは、コンウェイという学者が考案したシミュレーションゲームだそうです。詳しいルールは私は把握していませんが。
ところで、このシミュレーションゲームをモチ-フにしていると方々で既に考察がなされていますが、それだけではないと私には思えるのです。
規則正しく並ぶ円形の弾。それは、碁盤に並ぶ碁石を表しているのではないでしょうか。
何故そう思うのかというと、二つの理由があります。
一つは、碁石が天空に瞬く星々・星座を表象しているという思想があることです。これを踏まえて蘇活「生命遊戯 -ライフゲーム-」の弾幕を見てみると、碁石を敷き、散りばめる様に星々を弄る(ゲーム)とも見て取れます。それは、永琳が劇中で満月を隠したように星々を操作する力の体現とも見ることができるのではないでしょうか。
二つ目は、宿曜の思想です。それは、かなり端的に言えば、星の位置や動きで人の運命や寿命、国家の体制などが決まる、というような考えだったと記憶しています。
この二つの考えを併せて考えると、蘇活「生命遊戯 -ライフゲーム-」は碁石を敷き詰め、散りばめる所作の見立てであり、それは天空に瞬く星々を操作することに通じます。
さらに、星々を操作する事は人々の運命や寿命を変えることになると考えられるのです。つまり、寿命操作(ライフゲーム)。…ではないかと。