脳符「ブレインフィンガープリント」
- ブレインフィンガープリント
- Brain Fingerprint。
アメリカの科学者、Lawrence Farwell博士が開発した脳指紋法(Brain Fingerprinting)から。
基本的には、被験者は予め知識を持った状態で意識を集中させて行う。その中で、予め持っていた知識と合致すると判断できる情報が外界からの刺激で与えられると、「P300」という特定の脳波が観測されるという。これを特殊なアルゴリズムで解析する。
犯罪捜査においては、嘘発見器のように用いることが考えられる。容疑者に対して、犯人しか知り得ない情報(犯行現場や凶器など)のデータを与えた際にP300が観測できるかどうかでその犯罪に深く関わっているかを判断する、という感じである。
脳が既知のデータを処理するときと、未知のデータや無関係なデータを処理するときでは脳波が異なる(P300が出現する)ということを検証した実験(下記の参考文献の (※) より)を見てみると、論文中では大きく分けると、二つの実験について述べられている。
最初のものは、被験者に二つの偽のスパイ活動のシナリオのうちの片方に参加してもらい、後でそれに関する質問を行うというもの。質問は上記の二つのシナリオのそれぞれにまつわるもので、被験者は自分が体験したものと、そうでないものの質問を受けることになる。
二つ目の実験は一つ目と本質的に同じものを行う。
ただし、外界からの刺激は質問ではなく、実験にまつわる二語の単語を六つ並べたものに変更した。これによって外界からの刺激に対する反応を見る、というもの。
従来の、呼吸や脈拍、血圧などで被験者が嘘を付いているか否かを判定する嘘発見器よりも脳指紋法の方が正確だという話もあるが、観測できる脳波の解釈について等での反対意見もあり、この手法によって得られたデータが本当に信頼できるかを疑問視する声もある。
本スペルカードにおける弾幕は、
- 最初に行われる緑弾のバラ撒き → 予め経験した情報・知識
- ポイフル(楕円)弾 → 質問、外界からの刺激
- 緑弾の消えた場所での爆発 → P300の発生
という過程の見立てと考えることができようか。
なお本スペルカードをさとりが用いたのは、「脳波を読み取る」という脳指紋法の手法を鑑みて、無意識を操るこいしよりも、心を読むさとり寄りのものだと考えられるからであろうか。
― 出典 ―
- 『ダブルスポイラー ~ 東方文花帖』 上海アリス幻樂団製作 2010
- ※ 劇中のスペルカード、文・はたてのコメント など
― 参考文献 ―
-『脳波測定でテロリストを見分ける?(WIRED VISION)』 http://wiredvision.jp/archives/200110/2001101101.html
– 『脳指紋法 Brain fingerprinting(マルチメディア・インターネット事典)』 http://www.jiten.com/dicmi/docs/k25/20753s.htm
– 『Wikipedia(英)(Brain Fingerprinting)』 http://en.wikipedia.org/wiki/Brain_fingerprinting
– 『The Truth Will Out: Interrogative Polygraphy (“Lie Detection”) With Event-Related Brain Potentials.』 Farwell, L.A. & Donchin, E. (1991), Psychophysiology, 28:p.531-547 (※)
心花「カメラシャイローズ」
- camera-shy
- 写真嫌いの
- rose
- バラ
これより、カメラシャイローズ(Camera-shy Rose)を直訳すれば「写真嫌いのバラ」となる。
続いて、以下に『広辞苑 第六版』から「心花」と音が同じ、あるいは使用している漢字に共通なものがある単語を列挙する(しかし、いずれも本スペルカードと特別な類似点を持っているものはなさそうである)。
- 心下(しんか)
- 漢方で、みずおちの部分。
- 心火(しんか)
- 心が燃えるように烈しく起こりたつ憎悪・嫉妬・または憤怒の情。
- 死者の魂が飛び交うとされる怪しい火。また、歌舞伎で人魂を表すために燃やす火。陰火。
- 心窩(しんか)
- 胸骨正中下方、みぞおちの部分。しんわ。
- 心の花
- 移ろいやすい人の心を、散りやすい花にたとえていう語。
- 美しい心、風流を解する心、晴れやかな心などを花にたとえていう語。
一方で本スペルカードの弾幕に着目すると、ハート弾がまるでバラの花のような形で発生し、それが飛散していく。
このこととスペルカードの名称から、「心花」とは「ハート弾(心)で形作られたバラ(花)」を表すのではないかと考えられる。
また、”camera-shy”のスペルカード名が表すようにバラのような形の弾幕を作るさとり自身はカメラを向けると即座に回避する。
このことから、カメラシャイローズとはカメラ(撮影)から逃げるさとり自身を表すネーミングだと考えられる。
ちなみに、さとりのスカートに描かれている模様もバラであり、この点からも「バラ=さとり」の見立てであるという解釈を補完するのではないだろうか。
― 出典 ―
- 『ダブルスポイラー ~ 東方文花帖』 上海アリス幻樂団製作 2010
- ※ 劇中のスペルカード、文・はたてのコメント など
― 参考文献 ―
- 『広辞苑 第六版』 新村 出著 岩波書店 2008
- 『ランダムハウス大英和辞典 第2版』 小学館ランダムハウス英和大辞典第二版編集委員会編 小西 友七/安井 稔/國廣 哲彌/堀内 克明編集主幹 S. B.フレックスナー編集顧問 小学館 1994
- 『ジーニアス英和辞典 第3版』 小西 友七/南出 康世編集主幹 株式会社大修館書店 2003
- 『平凡社 大百科事典 12』 下中 邦彦編集発行人 平凡社 1985