雑考 ―星蓮船での霧雨 魔理沙の新装備について―

『東方星蓮船 ~ Undefined Fantastic Object.』にてその装いを新しくし、また新たな装備を持った霧雨 魔理沙。

既にその装備について言い尽くされてしまった感もあるが、今回はこの新たな装備、スーパーショートウェーブと魔符「アルティメットショートウェーブ」について少し思うところがあるので述べてみたいと思う。

その為に、まずは各々の名称を形成する単語を見てゆきたい。

  • super
    • (形)すばらしい、最高級の、特大の、[限定]すぐれた。
  • super-
    • (接頭)上位、超過、過度、余分、以上、超越。
  • ultimate
    • (形)究極の、最終の、根本の、最大の、最高の、…など。
  • short
    • (形)短い、背丈の低い、不足した、簡潔な、(人が)(~に対して)ぶっきらぼうな、…など。
  • wave
    • (名)波、波浪、うねり、[物理]波動、(頭髪の)ウェーブ、(絹布などの)波紋(模様)、…など。
  • shortwave
    • (名)[通信]短波。

これらの語より、

スーパーショートウェーブ…Super Short Wave(過度の短い波)、或いは Super-shortwave(意訳して超短波)。

アルティメットショートウェーブ…Ultimate Short Wave(究極の短い波)、或いは Ultimate Shortwave(究極の短波)

といった意味になろうか。

なお、先述の通り”ショートウェーブ”を安直に短い波と捉えるか、短波として見るかによって若干その見方に差異が生じると考えられるところには留意すべきか。

これらは、いずれも波動を飛ばしているという点では一致していると思われる。

加えてショットの演出から読み取るのであれば、スーパーショートウェーブでの弾を射出する時間的間隔は短く、その点からも”短い波”という名の片鱗が窺える。

しかしながら、それでもスーパーショートウェーブでは弾と次の弾との間に間隔があり、攻撃としては若干の隙があった。

一方、魔符「アルティメットショートウェーブ」ではその隙、間隔が見られない(攻撃判定を常に持っている)。

このような点から、スーパーショートウェーブよりもさらに上位、”究極に短い”という名を冠したのではないだろうか。


さて、ここで着目したいのはショートウェーブ(短波)という語である。

先のように単に”短い波”と捉えることもできるが、一方でショートウェーブには”短波”という意味も存在する。

これは電波の一種である。電波は電磁波の一種なので、端的に言ってしまえば短波は電磁波の一種ということになる。

電磁波は、電場と磁場が伴って空間中を伝わる現象で、その波長によって様々な種類に分類され呼び分けられている。

例えば、電磁波のうち波長がおおよそ 380nm から 780nm のものは我々人間の目で知覚することができる可視光とされる。

同様に、大雑把ではあるが可視光の範囲の周縁部で可視光よりも波長が短い電磁波は紫外線、波長が長いものは赤外線となる。

さて、広大な電磁波の波長域のうち、日本では主に周波数が300MHz 以下のものを電波と呼ぶが、他の電磁波と呼び分ける境界は曖昧なところもある。なお、周波数は周期現象の一秒間での変化が繰り返される回数をいう。

波長から見れば、電波は可視光よりも波長が長い部分に属する。このような電波の中で、短波は周波数が 3 ~ 30MHz 、波長では大雑把に 10 ~ 100m 程度の波長の範囲のものを指す。

短波は、周波数から High Frequency(HF)ともいう。非常に遠距離まで届く為、通信においては国際通信や国際放送などに用いられる。

さて、この短波よりも波長が短いものを超短波(Ultra Shortwave)或いは Very High Frequency(VHF) という。この超短波は性質として短波よりも多量の情報を送信できるが、電離層で反射しない為に遠距離の通信には向かない。

しかし、それに併せて直進性、指向性に優れており、テレビ放送やラジオのFM放送、近距離通信やレーダーにも用いられている。

この超短波は用いている英単語は異なるが、今回の本題の一つであるスーパーショートウェーブを意訳すると超短波とできるので、何らかの関連があるのではないか、と考えられる。

そこで関連付けられそうな事象を二、三述べておきたい。

まずはスーパーショートウェーブの弾の色である。

スーパーショートウェーブのオプション、また弾の色は赤色である。

一方、超短波は電磁波の中では可視光よりも波長が長い為、赤色の方が近いと考えられ、この点に一応の接点を見ることもできないだろうか(既に可視光の領域から外れているので色から論述することは少々疑問が残るが)。

次に、直進性や指向性に優れているという点である。

魔理沙はイリュージョンレーザーなどのショットにも表されているように真っ直ぐとされる点が多く見られる。

この魔理沙の性格との符合もさることながら、スーパーショートウェーブも弾自体は直進するので、直進性という点でも関連が見出せる。

加えてもう一点。

この装備での魔理沙の目的は「何だか判らない物に興味津々」であり、広範囲への攻撃でその様子を表現しているとも思える。

一方、超短波はレーダーにも用いられている電波である。この広範囲にわたって探索を行う、という点でも互いの接点が窺えるように思われるのだが、如何であろうか。

しかし一方で、超短波の持つエネルギーは決して高くなく、当たったとしてもダメージを与えるような電磁波ではないということもいえる。

その為、攻撃として超短波を用いることは考えられない。

故に直接この超短波を発射しているということはなさそうだ、とも言えそうなのである。あくまでモチーフ、ということであろうか。

なお、この超短波よりも波長が短く(10cm ~ 1m)、周波数の高い(300 ~ 3000万MHz)電波として極超短波(Ultra High Frequency/UHF)が存在する。こちらは超短波よりもさらに大量の情報を送信できる為、電話やテレビ中継、レーダーなどに用いられるという。

先述のスーパーショートウェーブがもし超短波と関連付けられるとすれば、魔符「アルティメットショートウェーブ」はこちらに対応させることができるであろうか。

しかしながら、魔符「アルティメットショートウェーブ」の演出では紫色から青色にかけての線と赤色から橙色にかけての線とが網目のように交差する波動が放たれており、スーパーショートウェーブのように単純な対応を取ることができないので如何ともし難いものがあるのではあるが、可能性の一つとして言及しておく。

― 出典 ―

  • 『東方星蓮船 ~ Undefined Fantastic Object.(体験版)』 上海アリス幻樂団製作 2009

― 参考文献 ―

  • 『電波辞典 第三版』 岩井 登/後藤 尚久監修 株式会社クリエイト・クルーズ H.12
  • 『応用物理用語大事典』 社団法人応用物理学会編 株式会社オーム社 H.10
  • 『ビクトリア現代新百科 9』 渡辺 ひろし編集責任者 株式会社学習研究社 1973
  • 『グランド現代百科事典 14』 古岡 秀人発行人 株式会社学習研究社 1973
  • 『平凡社大百科事典 9』 大中 邦彦編集発行人 平凡社 1985
  • 『広辞苑 第六版』 新村 出著 岩波書店 2008
  • 『ジーニアス英和大辞典』 小西 友七/南出 康世/編集主幹 株式会社大修館書店 2001

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