釣瓶「飛んで井の中」
- 飛んで火に入る夏の虫: 災いに自ら身を投じることのたとえ。
- 『梁書』「到漑伝」の文で、高祖が到漑に言った言葉が元となっているが、原文の形は現在用いられている上の成句とは異なっている。なお、ここでの虫とは蛾のこと。
- 火の中水の底
- 火の中水の中、とも。酷い苦しみや困難な境遇のたとえ。
スペルカードの弾幕は、nice shot を狙うためには自らを密集した赤クナイ弾の中に投じて撮影する必要がある形になっている。
そのため、上記の飛んで”火”に入る夏の虫と、意味として苦しい状況という点で共通し、かつ単語としても同じ”火”を用いていることから上記の二つの成句を合成して、飛んで火の中。
さらに、キスメが釣瓶落としという妖怪であり、桶に入った姿から井戸を連想しやすいことと、共にイの音が含まれていることなどから音が類似するヒ(火)とイ(井)を置き換えて本スペルカードの名前となったのではないかと思われる。
なお、本スペルカードにおけるキスメの動きも釣瓶よろしく、上下運動が中心。
― 出典 ―
- 『ダブルスポイラー ~ 東方文花帖』 上海アリス幻樂団製作 2010
- ※ 劇中のスペルカード、文・はたてのコメント など
― 参考文献 ―
- 『広辞苑 第六版』 新村 出著 岩波書店 2008
- 『故事名言・由来・ことわざ総解説』 三浦 一郎他51名分担執筆 株式会社自由国民社 1985
- 『故事ことわざ辞典』 野口 七之輔・日本書院編集部編著 日本書院 S.62
- 『世界大博物図鑑 第一巻 [蟲類]』 荒俣 宏著 株式会社平凡社 1991
釣瓶「ウェルディストラクター」
- well
- 井戸。
- destruct
- 有意破壊(行為)。
(ミサイルやロケットが)故障や、軌道から外れた場合などに地上から遠隔操作で空中爆破させること。
- 有意破壊(行為)。
- destructor
- 廃物焼却炉。(ミサイル・ロケットなどの)自爆装置。
- distract
- (心・注意などを)(~から)そらす、転じる。(人・心を)取り乱させる、狂わせる。気晴らしさせる。
- distracter(distractor)
- (多項目選択テストなどでの)正解以外の選択肢。
スペルカード名は、 well destractor あるいは well distracter となろうか。意味は前者であれば”井戸の破壊装置”、後者であれば”井戸から(おそらくは軌道を)そらせるもの”といった意味となるであろうか。
キスメの種族は釣瓶落としであり、その運動の基本は井戸の釣瓶と同様の上下運動であると考えられる。
これは『地霊殿』の一つ目の通常弾幕や『ダブルスポイラー』のスペルカード、釣瓶「飛んで井の中」にも見られる動きである。
一方、本スペルカードは三回、自機のいる方向への横移動を繰り替えした後に急降下あるいは急上昇する、といった変則的な動作から成り立っている。
また、『地霊殿』での怪奇「釣瓶落としの怪」で落としていた太いレーザー(おそらくは鬼火か?)を自機に向けて発射しており、これも釣瓶落としの動作からは外れた軌道となっていると思われる。
これらの釣瓶落としの本来の動きとは異なる挙動を示すという本スペルカードの性質から、ミサイルやロケットの(有意破壊用の)自爆装置の意味の語 destructor、あるいは(心や注意を)そらす、転じるといった意味の語 distracter がスペルカードの名として付けられたのではないだろうか。
― 出典 ―
- 『ダブルスポイラー ~ 東方文花帖』 上海アリス幻樂団製作 2010
- ※ 劇中のスペルカード、文・はたてのコメント など
― 参考文献 ―
- 『ランダムハウス大英和辞典 第2版』 小学館ランダムハウス英和大辞典第二版編集委員会編 小西 友七/安井 稔/國廣 哲彌/堀内 克明編集主幹 S. B.フレックスナー編集顧問 小学館 1994
- 『ジーニアス英和辞典 第3版』 小西 友七/南出 康世編集主幹 株式会社大修館書店 2003
- 『Yahoo!辞書(destruct、distract)』 http://dic.yahoo.co.jp/