神桜「湛えの桜吹雪」
“湛え(湛/たたえ)”とはかつて諏訪で行われていた大御立座神事で、ミサクチ神を降ろす場所のこと(洩矢 諏訪子考察第2章も参照)。
特に、湛の中で七湛木(下記)は著名。
- 桜湛木
- 峯湛木
- 真弓(檀)湛木
- 橡湛木
- 松湛木
- 檜(干草)湛木
- 柳湛木
なお、土着神「七つの石と七つの木」の”七つの木”が七湛木を指しているのではないかということは上の諏訪子考察第2章に既述。
ここでは”神桜”・”桜吹雪”とあるので、桜湛木を示唆しているのではないかと考えられる。ミサクチ神を降ろす神木、ということで神桜を冠するか。
ところで、現在桜湛木とされる樹木は現存しておらず、古文書の記述などから桜湛木があったであろうとされる推定地があるのみである。現存しないということは、幻想郷入りということかも。
写真は茅野市粟沢の天白社境内にある桜湛木跡地の記念碑(筆者撮影)と、同じく粟澤の鎮守である矢作社武田八幡社(筆者撮影)。
双方とも、桜湛木のあったとされる場所に推定される。おそらく、元ネタに一番近づける物だと思われるので参考までに再掲載。
― 出典 ―
- 『ダブルスポイラー ~ 東方文花帖』 上海アリス幻樂団製作 2010
- ※ 劇中のスペルカード、文・はたてのコメント など
姫川「プリンセスジェイドグリーン」
スペルカードの系列としては、源符「厭い川の翡翠」に類すると思われる。
姫川は新潟県糸魚川市と頚城郡青海(おうみ)町との間を流れている川。
上流では翡翠が取れる。
建御名方神の母神・沼河比売命は玉(翡翠)の神格化ともいわれ、姫川と関連も深い(洩矢 諏訪子考察第7章も参照)。
Princess(姫)は姫川、あるいは沼河比売命を表していると考えられる。Jadeは翡翠のことで、その色は一般的に緑色(Green)といわれる。
写真は諏訪大社で引くことのできる翡翠おみくじ(筆者撮影)。諏訪、沼河比売命、翡翠関連ということで。
― 出典 ―
- 『ダブルスポイラー ~ 東方文花帖』 上海アリス幻樂団製作 2010
- ※ 劇中のスペルカード、文・はたてのコメント など
鉄輪「ミシカルリング」
洩矢 諏訪子のモチーフである洩矢神は諏訪大明神と戦った時に鉄の輪で大明神に対抗した、ということが『諏訪大明神絵詞』に記されている(洩矢 諏訪子考察第3章も参照)。
- Mythical
- 神話(上)の、架空の、想像上の。
- 有名になった、重要な位置を占める
- Ring
- 輪、環。(『ジーニアス英和辞典 第3版』より)
これより、Mythical Ring は「神話の(鉄の)輪」の意と考えられる。
あるいは、意訳して「有名になった(鉄の)輪」、「(神話において)重要な位置を占める(鉄の)輪」といった意味でも取れるかもしれない。
― 出典 ―
- 『ダブルスポイラー ~ 東方文花帖』 上海アリス幻樂団製作 2010
- ※ 劇中のスペルカード、文・はたてのコメント など
土着神「御射軍神さま」
祟符「ミシャグジさま」と同類の系列と考えられる。
弾幕も自分(諏訪子)を中心として放射状に放つ、という点でも類似。”御射軍神”は数あるミサクチ神の当て字の一つ。なお、”赤口”もミサクチ神の当て字の一つ(暦の赤口(しゃっこう)と混同されたと思われる)。
とすると、祟り神「赤口(ミシャグチ)さま」も同系列であるといえるだろう。
― 出典 ―
- 『ダブルスポイラー ~ 東方文花帖』 上海アリス幻樂団製作 2010
- ※ 劇中のスペルカード、文・はたてのコメント など
― 参考文献 ―
- 『日本庶民生活史料集成 第二十六 神社縁起』 谷川 健一編集委員代表 株式会社三一書房 1983
- 『ジーニアス英和辞典 第3版』 小西 友七/南出 康世編集主幹 株式会社大修館書店 2003